広汎性発達障害と自閉症スペクトラムの違いは?
最近では発達障害のことがよくメディアでも取り上げられていますが、実際には発達障害の中にもいろいろな病名が含まれています。
また、いくつかの症状をもっている人も少なくないので、単純にひとつの病名だけの診断でないことも珍しくありません。
その中で広汎性発達障害と自閉症スペクトラムなどどういった違いがあるのかがわからない人も多いと思います。
今回は広汎性発達障害と自閉症スペクトラムの違いについてお伝えします。
広汎性発達障害と自閉症スペクトラムの違いについて
発達障害は大きく分けて「広汎性発達障害(PDD)」「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」「学習障害(LD)」の3つに分類され、その中の一つ、
広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:略称PDD)は、コミュニケーションおよび社会性に障害がある発達障害のグループとなります。
このグループには「自閉症」「アスペルガー症候群」「レット障害」「小児期崩壊性障害」「特定不能の広汎性発達障害」という5つの障害が含まれています。
一方、自閉症スペクトラムは比較的新しい言葉で、近年アメリカで発達障害全般をさす言葉として総合的名称として出現してきた言葉となります。
以下、自閉症スペクトラムについて説明します。
自閉症スペクトラムにおける昨今の流れ
現在、日本で一般的に発達障害の診断基準として使用されているのは、世界保健機構(WHO)が公表している「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)」と、
アメリカ精神医学会が公表している「精神障害の診断・統計マニュアル(DSM)」の2つです。
このうちのアメリカ精神医学会が公表している診断名が「自閉症スペクトラム」です。
スペクトラムという意味は「連続性、虹色、グラデーション」というような意味で、
発達障害の基本的特徴に連続性(スペクトル)が認められることを示しています。
つまり、発達障害全般は基本的に虹の色が連続して変わるように、特性の出方が人によって強く出たり弱く出たりして、
特定の範囲内でその方の症状を確定させることが困難であることが背景にあります。
結果、発達障害全般のことを「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」(Autistic Spectrum Disorder:略称ASD)と表現したのがアメリカ精神学会です。
2013年にアメリカ精神学会により発刊された、国際的な診断基準のガイドラインであるアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)では、
発達障害のほとんど(レット障害は除外)は、現在、「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」(Autistic Spectrum Disorder:略称ASD)という名称になっているのです。
現在使われている「広汎性発達障害(PDD)」「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」「学習障害(LD)」「自閉症」「アスペルガー症候群」「小児期崩壊性障害」「特定不能の広汎性発達障害」
という言葉は今後すべてそのため、「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」に置き換わられていくようになります。
これは前述の如く、そもそも発達障害のそれぞれの種類が非常に曖昧であり、以前から専門家も医師も判断が難しいことが挙げられ、
また発症している方々の多くが複数の障害の傾向を並行して発症しているケースもあり、一つの障害名で診断することが難しいことが背景にあるようです。
まとめ
現在、アメリカ精神学会が発表した「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」という診断基準が世界基準として広がりを見せています。
日本ではまだ「広汎性発達障害」といった旧来の基準がまだ根強いですが、イギリスなどは殆どがこの「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」という診断名に置き換わられています。
今後、「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」という診断名が一般的になる可能性は高くなっており、多く目にすることとなるかと思います。
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